院長コラム

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Doctor’s Column

「鍛えれば中高年の心臓も若返る」は本当か? 2020/4/23

フルマラソンを安全に走るには、適したペースの把握が必要

どんなに強靭な人でも、フルマラソンを全力で走り続けることはできません。どれくらいの速度で走っていけば約42㎞という長い距離を安全に走り切ることができるのか、自分のペースをつかむことが大切です。このペースを知るには、体に負荷をかけて心拍数がどれくらい上がるのかという「最大心拍数」を知っておくとよいでしょう。

私がダイエットに成功してマラソンを始めようとした53歳のとき、スポーツメーカーのラボで専門家にフォームから走り方に至るまでの指導を受けました。このときに試した体力測定の一つが、「エルゴメーター検査」です。

この検査は、自転車こぎのようなもので、胸に心電図の電極を着けるなどして1分間60回転をメトロノームに合わせ、ひたすらペダルをこぐというもの。これによって最大心拍数や血圧、最大酸素摂取量が分かるなど、医療現場でも心臓病の検査などで用いられています。

体にかなりの負荷をかけるため、2人がかりでモニターされています。脈拍が増え、心電図に不整脈が出てくると、危険なので直ちにストップがかかります。

実際にやってみるとかなりきつく、心臓が飛び出るのではないかと思うほどバクバクしていました。こうして測定した結果、私の最大心拍数は175でした。

その後、マラソンを始めて体が鍛えられてきた57歳のとき、再び受けたエルゴメーター検査の結果は185だったのです。歳は4歳取っているにもかかわらず、最大心拍数は57歳のほうが勝っている、つまり若い体になっていたことになります。

 

[図表]ランニング時の脈拍の変化

1時間のランニング
徐々にスピードアップし、走行距離12km
脈拍は120から160/分以上まで増加している
(レース時の脈拍は150-155/分)

運動をするときは「60~70%くらいの負荷」で行う

最大心拍数は、検査を受けなくても「220 -年齢」と「208 -0.7×年齢」で求めることができます。この公式に当時の私を当てはめてみると、「220 -57=163」「208-0.7×57=168.1」。両者では差があるものの、実際には185なので日頃から鍛えていれば、実年齢よりも若いレベルになれるのです。これにより私の心臓の限界は心拍数が185であることが分かりました。したがってトレーニングでは、最大心拍数の半分では軽過ぎるので、60~70%程度の負荷をかけて行えば、心臓にダメージを与えることなく安全ということになります。つまり、限界が分かると自分でセーブすることができ、無茶はしなくなるということです。

これがフルマラソンになると、85%ほどのペースで走り、ラストスパートをかけるときは90%くらいになっています。ただし、ゴールするときには100%になっている可能性はあります。

 

鍛えれば中高年の心臓も若返る?

→ ホント

習慣にしよう!

  • 運動をするときは全力でなく、60~70%くらいの負荷で行いましょう。最大心拍数が上がって元気で若々しくなれます。
この記事の執筆者 院長 永野 正史

三井記念病院内科腎センター勤務、敬愛病院副院長を経て2003年 練馬桜台クリニック開業。

山田太郎