院長コラム

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Doctor’s Column

「夜に運動すれば熟睡できる」は本当か? 2020/4/24

「運動後の心拍数」まで気にかける人は少ないが…

マラソンに限らず本格的に運動をしている人は、体調管理として運動中の心拍数には注意を払うと思います。けれども運動後の心拍数は、あまり気にしていないのではないでしょうか。実は、運動後に心臓への負担がどれくらい残っているのかを知ることも大事なことなのですが、あまり知られていません。

これには、「最低脈拍数」をモニターするのが効果的です。最低脈拍数は安静時に現れるもので、ほとんどの場合で深い眠りに入ったときに観察されます。そのため、十分な睡眠が取れている証でもあり、起きたときには疲れが取れて回復しています。逆に、寝ている間に最低脈拍数が出ないときは眠りが浅く、疲れが取れていないことを示します。

そこで、私は5年前からスマートウォッチを着けるようになり、脈拍を24時間モニターし続けています。

私の場合、日中は診療があるため、走るのはもっぱら夜になります。仕事が終わってケトン食を摂ったあと、21~22時くらいに自宅のランニングマシンで走っています。そうすると、早くても寝るのは0時になり、運動後2時間しか経っていないので交感神経が優位な状態となり、夜中に脈拍が下がり切らないことがあります。そのまま朝を迎えると、疲れが残って体調も優れないので、その晩はトレーニングを入れないようにしています。

勤めている人も日中は運動ができないので会社帰りにジムに寄ったり、帰宅後に走ったりして鍛えていると思います。これによって体が疲れ、寝つきが良くなってぐっすり眠れていると思われがちですが、実際は質の良い睡眠は取れていないと考えられるのです。

ただ、翌日の休憩時間に最低脈拍数になることがあり、そういうときは意外と体が回復していて体調も良く、夜には長く走っていられます。

個人差があるので一概にはいえませんが、多少はズレていてもきちんと脈拍が下がり、最低脈拍数が現れることが大事なのです。

心臓に負担をかけない練習メニューを立てる

最近、脈拍モニターの標準曲線を見ていると、ヒューッと下がっていることに気づきました。最低脈拍数が51から、47へ下がっていたのです。通常では不整脈と診断される数値ですが、さまざまな検査結果から心臓の状態は正常です。

なぜ脈拍数が少ないのかを調べた結果、スポーツ選手によく見られる心臓の肥大が「スポーツ心臓」になっている可能性が高いのです。心臓にダメージを受けていない状態で鍛えると、そのようなことが起こるようです。逆に、脈拍数が上がった場合は、心臓の老化が進んでおり、心不全に近づいていることを意味します。どうやら私の心臓は、60歳を過ぎて若返ったみたいです。

[図表]5年間の最低脈拍数のデータ

2015年1月から2019年12月(56歳から61歳)

ちなみに、5年間も脈拍をモニターしていると、自分のバイオリズムがつかめてくるので、トレーニングを入れたり休んだり、走る距離を長くしたり短くしたりと、心臓に負担をかけない練習メニューを立てられるようになってきます。

 

夜に運動すれば熟睡できる?

→ ウソ

習慣にしよう!

  • 夜に運動をしている人は、寝つきは良くても翌日に疲れが残って睡眠中に脈拍数が下がり切っていない可能性があります。休養をとって体調を確認してみましょう。
  •  最低脈拍数をモニターしてみましょう。運動後の心臓の回復具合が分かり、練習に反映できます。
この記事の執筆者 院長 永野 正史

三井記念病院内科腎センター勤務、敬愛病院副院長を経て2003年 練馬桜台クリニック開業。

山田太郎