院長コラム

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Doctor’s Column

「動脈硬化予防にはオメガ3の推奨量摂取でOK」は本当か? 2020/3/27

サプリメントで、オメガ3の推奨量「1.8g」を10年間飲んでみた

糖尿病や脂質異常症、高血圧などをなぜ放っておいてはいけないかというと、動脈硬化を引き起こすからです。動脈硬化は血管を傷つけて脳梗塞や心筋梗塞など命にかかわる心血管疾患のリスクを高め、寿命を縮める原因になります。

私の場合、体質的に動脈硬化になるリスク因子が重なっています。このままでは110歳まで生きるのは難しくなると思われ、何としても改善しなければならない課題の一つでした。

そこで、動脈硬化の予防効果がある食品を積極的に摂ることにしました。血液サラサラといえば、サバやアジ、サンマなどの青魚です。これらには、体内で合成することができない必須脂肪酸といわれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が含まれています。

必須脂肪酸にはいくつか種類があり、青魚に含まれるのは「オメガ3脂肪酸(※)」といわれる種類です。オメガ3には、血栓をできにくくしたり、中性脂肪やコレステロール、血圧の上昇を抑えたりするだけではなく、すでに進行している動脈硬化も取り去る作用があります。

しかし、いくら健康に良くても、来る日も来る日も青魚を食べるのは飽きるもので、長続きしそうにありません。食べられる量も限られてきますから、もっと効率良く手軽に摂れる方法でなければ継続は難しく、動脈硬化を予防するうえでは不向きと実感しました。

そこで、サプリメントを利用することにしたのです。推奨されているオメガ3の摂取量は1.8gほどです。これを毎日、10年間飲み続けました。

動脈硬化予防には「推奨量のおよそ2倍」を摂取すべし

ところが、実際はこの量では十分ではありません。「心血管高リスク、脂質値異常の患者さん8179人に対し、オメガ3を4g投与したところ、約5年間の追跡調査で25%減少した」という研究結果が報告(※)されているのです。

いくら健康に良くても脂質なので、摂り過ぎるとカロリーオーバーになって逆効果とされていましたが、実際は推奨量の倍もある4gで動脈硬化が予防できるというわけです。

 

[図表]胸部レントゲンで見る動脈硬化

例①  55歳から高血圧、脂質異常症の治療開始。糖尿病、他の生活習慣病には罹患していない。74歳時にはすでに大動脈の蛇行を認めるが、その後16年間で悪化していない。ただ、大動脈弓部に動脈硬化による石灰化所見が認められる


右:2003年3月(74歳)、左:2019年5月(90歳)

例② 高血圧の治療が十分でなく、禁煙もできなかった。65歳で脳出血


右:2009年3月(57歳)(大動脈弓部には石灰化がない)、左:2017年3月(65歳)(大動脈弓部に石灰化がある)。

 

私も、オメガ3を毎日4g飲むように変えたところ、現在まで血管拡張能が保たれ、冠動脈の狭窄もないことが検査で確認できました。つまり、動脈硬化は認められなかったのです。

私は本格的なマラソンに取り組んでいますが、動脈硬化が起こっていたなら今ごろは倒れていた可能性があります。元気に走れているということも、血管に問題がないという証ではないでしょうか。

さらに、オメガ3は動脈硬化の予防にとどまらず、脳の老化や認知機能の改善にも効果を発揮します。油でありながら血流を良くし、健康に有益な物質なのです。赤血球の膜にも作用して酸素の受け渡しを良くする働きもあるので、アスリートならパフォーマンスも上がると考えられます。

 

動脈硬化予防にはオメガ3の推奨量摂取でOK?

→ ウソ

習慣にしよう!

  • オメガ3の効果を得るためには、毎日4gの摂取を習慣化しましょう。
  • 症状が進んでいる人も飲み続ければ改善が期待でき、血管が若返ります。

 

※参考文献
日本糖尿病学会・日本癌学会 糖尿病と癌に関する委員会: 糖尿病と癌に関する委員会報告. 糖尿病56(6): 374-390. 2013

この記事の執筆者 院長 永野 正史

三井記念病院内科腎センター勤務、敬愛病院副院長を経て2003年 練馬桜台クリニック開業。

山田太郎