院長コラム

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Doctor’s Column

「タンパク質を摂れば筋肉量は増える」は本当か? 2020/4/25

筋肉量はその人の「体力」「生命力」を示すもの

いくら標準体重であっても筋肉量が少なく、脂肪でその体重を維持している人は、転びやすかったり、心不全を起こしやすかったりして長生きはできません。元気で長生きするには、筋肉量が多いことが有利となります。なぜなら、筋肉量はその人の体力、ひいては生命力を示すものだからです。

一般に「筋肉」というときは、体を動かすための骨格筋を指しており、マッチョな人がプロテイン(タンパク質)を摂っているように、筋肉を作るうえでタンパク質は大事な栄養素です。

ところが、筋肉もタンパク質なので材料は必要ですが、ただ摂っただけでは筋肉量は増えないのです。脂肪は運動をしなくても増えますが、筋肉は運動で鍛えなければ増えないのです。そうするとマッチョな人は理にかなっていますが、日常的に運動する習慣のない人は、タンパク質を摂っても筋肉量は少ないままです。ここが、一般には知られていないので、特に高齢者は筋肉量が少ないために疲れやすくなったり、踏ん張りが利かなくなったりして転倒しやすくなっています。

私はマラソンをするため、速いランナーの中に入ると、まだまだランナー体型には遠いと感じさせられ、体を引き締める必要性を痛感します。

そこで、体組成計で自分の体内の状態を確認するようにしています。今は、一般に市販されている体組成計で、体重のほかにも脂肪量、筋肉量、水分量などを正確に測ることができるので、常に計測しているのです。

「固くてつまめないから、このおなかは筋肉だ」という男性は多いが…

体組成計は、体に微弱な電流を流し、その抵抗値を計測して脂肪や筋肉率などを推定しています。脂肪は電気をほとんど通しませんが、筋肉や血管など水分の多い組織は電気を通しやすい性質をしています。これを利用して、脂肪とそれ以外の組織の割合を推定しているわけです。

私に限らず運動習慣のある人は、意外と体組成を気にするものですが、メタボの人に限って気にしないのです。実際に、私もそうだったのでメタボになりました。

先日も、明らかに肥満の人が健康診断にやってきました。ところが、本人に自覚はなく、太っていないと言うのです。突き出ているお腹は何かと訊ねると、真面目な顔で「筋肉です」と答えました。

脂肪はブヨブヨしていて柔らかく、つまむことができるけれど、自分のお腹はパンパンに張っていてつまめないから筋肉だと主張するわけです。しかし、実際に測ってみると、ほとんどが脂肪でした。冗談と思うかもしれませんが、このような人が意外と多いのです。そして、そう主張するほとんどが男性です。

肥満体型は大きく分けて、見るからに柔らかそうな「ぽっちゃり型」と、肉質が固そうで張っている「固太り型」の2種類があります。固太り型は、以前に運動をやっていて止めた人に多く、筋肉組織の間に脂肪が入り込んで「霜降り肉の状態」になっているので固いのです。運動経験がないのに固太り型の場合は、血流が悪いと考えられています。

したがって、自分の体ときちんと向き合い、筋肉量が少ないときは運動をして増やす努力をすることが、老化予防につながります。

 

タンパク質を摂っていれば筋肉量は増える?

→ ウソ

習慣にしよう!

  • 転びやすい人や疲れやすい人は、筋肉量が少ない可能性があります。日常的に歩くほか、ストレッチや筋トレをなどの運動習慣をつけましょう。
  • 自分の脂肪量や筋肉量を知りましょう。適切な量に改善することが健康につながります。
この記事の執筆者 院長 永野 正史

三井記念病院内科腎センター勤務、敬愛病院副院長を経て2003年 練馬桜台クリニック開業。

山田太郎